日別アーカイブ: 2018年3月12日

平成29年度花のまちづくり協働推進セミナーを開催しました

2018年3月6日(火)、秋田市の遊学舎に於いて「花のまちづくり協働推進セミナー」を開催しました。朝の段階でお天気に恵まれ、当日の申し込みを含め80名ほどの参加者にご来場いただきました。
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「花いっぱい運動発祥の地 松本から。~人々の心に花を咲かせよう~」と題し、長野県松本市のNPO法人「街を花いっぱいにする会」ならびに「全日本花いっぱい連盟」の事務局長・柳澤正さんにお越しいただきました。
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「花いっぱい運動」は、戦後荒廃した松本市を「街に花を植えて世の中を明るくしよう」と思い立った、小松一三夢氏というひとりの方の考えから始まりました。
昭和27年、この考えに賛同する有志7、8人と「街を花いっぱいにする会」を設立し、花を植え育てるのみにとどまらず、清掃活動やあいさつ運動、自然保護活動などでその運動は全国各地に広まっていきました。
地域花だんを審査してまわる「花いっぱい花壇コンクール」も、昭和28年より開始し、65年もの間、現在まで一度も途絶えることなく続いている事業です。
柳澤さんは、「当時、花いっぱい運動は“腹一杯運動じゃないの”と揶揄され批判された時期もあったようです。現在も数多ある事業の中で必要性を問われることもあるのですが、小松先生が何も無いところから初められ、この運動が市民にどう評価されてここまで歩んでこられたかを振り返ると、運動が続いてきた意味は自ずと見えてきます。それは平凡にして、非凡なこと」と、お話されました。また、「花を自分の家にだけ飾る“封建的な花”から、地域に解放・拡大した運動として、もっと社会に広げていきたい」とおっしゃっていました。

事務局も昨年6月、松本市で行われた「第57回全日本花いっぱい松本大会(全国大会)」に行って来たのですが、駅に降り立った時から市民の手による花だん、ハンギングフラワーなどに出迎えられ、駅前だけでなく松本城に至るまでの歩道や公園など、大規模な活動をされていることに度肝を抜かれ、市全体が花を通した地域づくりに取り組んでいる熱意が素晴らしく感動し、今後のまちづくりのヒントになると確信しました。
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▲花いっぱい運動発祥の碑 ▲松本駅前のウエルカムフラワー

その後「地域からの報告」として、秋田市緑化コンクールを通して環境美化活動や地域コミュニティの活性化に取り組んでいる秋田市民憲章推進協議会会長の利部周市さんからお話いただきました。
秋田市民憲章推進協議会が主催する「秋田市緑化コンクール」は、秋田市の「花いっぱいコンクール」にあたります。昭和40年に花のみならず緑いっぱいの美しいまちを目指し、春季苗木斡旋事業を開始してからは「秋田市緑化コンクール」に名称を変更しました。県の花だんコンクールもそうですが、審査時期は9月。秋花だんが対象となっています。今後の課題として、春花だんの審査についても検討していきたいとおっしゃっていました。

秋田県内には、こうした地域ならではの花や緑を通じての取り組みが数々あります。由利本荘市の南内越もそのうちのひとつ。川口踏切花壇をメインに活動している地域の花いっぱいボランティアの取り組みについて由利本荘市教育委員会南内越公民館長の大滝朗さんから発表いただきました。
南内越花いっぱいボランティアグループでは、「南内越コミュニティ通信」という広報を通じ、地域住民や県立大学の学生などに植栽活動への協力を仰いでいます。また、細やかな花壇の年間管理計画を立て実践し、デザインについても時代を反映した言葉を花文字で表現したりと、電車から見られる立地を活かした配色・工夫がなされています。

講師とパネリストの御二方にはその後、事務局のコーディネートにより、それぞれの取り組みによってどのような成果があったかなどお話いただきました。
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【仲間づくりに関して】
大滝さん「運動を知ってもらうにはメディアを使う、学生を遣う、これは力になります。そこによそ者(自分たちだけでなく、という意味で)、若者の力が入ることは非常に大きいですね」
利部さん「花は生き物、年によって出来栄えは違えども、花壇を作っている人たちは悪い時も良い時も生き甲斐を感じて花づくりに携わっています。必ずしも大きな花壇でなくとも、プランターひとつでもふたつでも、というのが多くの人の心に届く花いっぱい運動であってもらいたいし、そういう仲間を増やしていくのが良いと思いますね」
柳澤さん「同じ作業を通じてコミュニケーションがはかれるなら、年齢は関係なく、活動に関わることで植える側も見る側も心地よさを感じ、大人でも子どもでも気軽に参加できるというのが、今後の継続に必要ですね。小・中学校の総合学級に取り入れて貰うよううお願いできれば。街の中の花壇なら、お店が忙しい方も、お店の中でお客さんを待っているより、お店の外に出て、花を通じて地域のお客さんとの交流をとってみませんか、というような声掛けがいいでしょうね」

【費用などについて】
大滝さん「市町村の助成だけでは維持しづらい。規模拡大に伴う予算の増嵩が課題となっています。お店と言えば、例えば能代の国道7号線の例だと、国交省の事業で花苗を配布して貰って歩道沿いの商店や地域住民が手入れをして良い連携をしています。私たちも、日常的に土に触れる機会を“たまにはハイテクではなくローテクで”もってみませんかと声掛けをしていますが」
利部さん「秋田に関して言えば、市の協力は必要でしょう。戦後、広島県福山市では平和をバラに託して1,000本の苗を公園に植えたことから始まり、今や戦後復興の原動力として住民組織に拡大し、市の花となっています。市制施行100周年を迎えた昨年は、100万本のバラを植栽し「100万本のばらのまち 福山」が達成されました。これは、地道な市民の努力と、市の協力無しではなり得なかったと思います」
柳澤さん「行政はその時の税金の納入状況次第で、要は“ない袖は振れぬ”。苗の配布だけでなく、種から増やす、という方法を採って継続している地域もあります。あとは、環境面で花を植えている企業さんに声を掛けるとか、銀行や放送局のホールなどで花壇コンクールのパネルを貸し出して展示してもらうとか、企業のイメージアップも兼ねて協力して貰うんです」
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それぞれの考えがあって、それらがひとつの運動を盛り上げていくということは、並大抵のことではありません。こと、地域づくりに関しては、どこの地域も解決策が見えているわけではないことも。それでも、地域に住まう者として、この地域の未来を真剣に考えている方々にとっては地道な努力は当然のように行うものであり、その努力がひとつの運動を支え、継続していくという事実は変わらないのでしょう。
柳澤さんがお話の最後に締め括られた「時代は高齢であっても、こと“花”に関しては高齢者が主役を担ってきたので、高齢化社会だと悲観することはないと思います」という言葉に、明るい未来が見えたような気がしたのでした。