2019年3月7日(木)、秋田市の遊学舎を会場に、「平成30年度花のまちづくり協働推進セミナー」を開催しました。当日は花壇づくりや花いっぱい運動に取り組んでいる方々など約80名が参加してくださいました。
セミナーでは、花で秋田を元気にする活動発表として、地域住民による花のまちづくり活動や学生が自主的に始めた花を植える活動、それから花の産業振興に関する取り組みなど、様々な観点から事例発表をいただきました。また、事例発表者による「協働で進める花のまちづくり」をテーマにパネルディスカッションが行われました。
最初に、昨年の全国花のまちづくりコンクール(主催:公益財団法人日本花の会)で最高賞の国土交通大臣賞を受賞された「十文字環境美化を考える会」の佐々木仁さんから、地域の花のまちづくり活動についての発表がありました。
佐々木さん「元気を失っていくまちを、どうしたら美しく活気のあるまちにできるか。私にできることは、“まちに花や緑を増やす活動”でした。最初はいろいろ苦労しましたが、道の駅十文字やJR十文字駅、十文字第一小学校のほか、多くの地域住民の理解と協力を得ながら旧国道13号線沿いにフラワーロードを作っています。こうした活動も10年が過ぎ、今では周辺の地域や企業などでも花を植える活動が広がり、花のまちづくり活動が点から線に、そして線から面に広がっています。将来、若い世代や子どもたちが、十文字は花と緑のある“住みたいまち”と言ってくれるようになったら、私も花咲か爺さんをやってきた甲斐があります。」
次に、「秋田大学環境サークルG.C」の顧問である秋田大学大学院理工学研究科講師の小笠原正剛さんから、サークルの学生が自主的に学内に花を植える活動を始めたきっかけやエピソードについて発表がありました。
「もともとは学内の環境活動サークルとして発足し、ねんりんピックのクリーンアップやエコ・リサイクルフェアなどで活動を行っていました。そのうち、学生から、学内に花が少ないから花を植えてみたいという提案があって、最初は、種から油が採れることもあってヒマワリを植えてみました。1年目は成功しましたが、2年目は上手くできませんでした。その後大学の支援で国営ひたち海浜公園と国営みちのく杜の湖畔公園を視察する機会をいただき、そこで花壇整備に関する学習ができたことで、学内の花壇づくり構想が具体的になってきました。課題はまだまだありますが、学生の自主性を尊重し、大学の協力を得ながら、花いっぱいのキャンパスにできたらいいなと思っています。」
それから、秋田県農林水産部園芸振興課の進藤晶さんからは、花の産業振興の観点から「国産花きイノベーション推進事業」の取り組みについて説明がありました。
進藤さん「秋田県では、県産花きの生産拡大と消費拡大を目指して、花の生産者や流通業界、小売業界などと協働で新しい取り組みを行っています。例えばNAMAHAGEダリアが一年をとおして東京や大阪で流通できるように宮崎県とのリレー出荷による安定した供給体制の整備や全国的なスポーツ大会やイベント等で県産花きのPRを行っています。また、「一花一葉」や「寄せ植え体験」など、子どもたちを対象にした「花育」にも取り組んでいます。「花育」については、子どもたちに花に親しむ機会を提供することで、将来の消費拡大につながるものと期待し、これからも継続していきたいと思っています。」
このあと、活動発表をいただいた3名の方々を交えて、「協働で進める花のまちづくり」をテーマに、協働の現状や今後の展望についてパネルディスカッションを行いました。
最初は、それぞれの活動や事業における協働の現状や効果について伺いました。
佐々木さん「協働による活動は、リーダーの存在や考え方が大きく影響すると思います。また、常に活動できる人は限られているので、自らが率先して取り組む意識を持って、積極的に行政や地域、学校、企業などを巻き込んでいくことで協力してくれる人たちが増え、活動資金の調達にもつながり、活動が広がっていくものだと思います。」
小笠原さん「大学の場合は、常に活動できる人はいないですし、学生も年次進行次第では状況が大きく変わってしまうので活動が定着するのは難しいです。となると、大学職員を含めて学内の協力を得たいところですが、すぐに結果が出せるものではないので、もし、大学と一緒に行動を起こしたいというところがあれば、ぜひ協働で取り組ませていただきたいと考えています。」
進藤さん「花きの販路拡大という視点で言うと、生産者から消費者の手に渡るまでの全てが協働だと思っています。基本的には対等な立場で、お互いが腹を割って話し合うことで、信頼関係ができてスムーズに回るような気がします。」
次に、それぞれの今後の活動の抱負や未来像について伺いました。
佐々木さん「人々の気持ちをホッとさせるような新しい花壇づくりをしてみたいです。例えば流木アートを取り入れてみるとか、作った人の想いや言葉を表示するとか、遊び心があって、見た方に興味を覚えてもらえるような表現をしてみたいです。」
小笠原さん「花の専門ではない学生たちが自主的に取り組んだことには力があると信じています。今後も大学と相談しながら、誰でも花壇づくりができるような学内体制の定着を目標に地道に活動を続けたいと考えています。」
進藤さん「生活様式の変化により、ブライダルなどの冠婚葬祭では生花を使わないでドライフラワーや造花で代用する例も増えてきました。生花の消費が縮小している現状を何とかしたい。花をもっと身近なものにし、花に親しむ機会を増やし、花で溢れている秋田をめざして努力したいと思っています。」
まとめ:地域で暮らす人々が自分たちの地域を明るく元気にしたいと取り組んでいる地域の花壇づくり活動や若者の視点で始めた花を植える活動、花の産業振興として、生産、流通、販売などの業界が協働で取り組んでいる事業、そして、将来の秋田を担う子どもたちが花に親しむ「花育」活動など、様々な視点で様々な主体が協働による花で秋田を元気にする活動が行われています。
これからも共通の花を媒体とした県民協働の輪を更に広げ、花のある心豊かな地域づくりを目指して参りたいと思います。